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2007年 07月 28日
(2006年 ドイツ・フランス・スペイン/147分) 原題:PERFUME: THE STORY OF A MURDERER 原作:「香水 ある人殺しの物語」 監督:トム・ティクヴァ 脚本:トム・ティクヴァ、アンドリュー・バーキン、ベルント・アイヒンガー 出演:ベン・ウィショー、ダスティン・ホフマン、アラン・リックマン、レイチェル・ハード=ウッド 【あらすじ】 18世紀のパリ。悪臭立ちこめる魚市場で一人の赤ん坊が産み落とされる。危うく捨てられかけた赤ん坊は間一髪で拾われ、グルヌイユと名付けられて育児所に引き取られる。グルヌイユ(ベン・ウィショー)は友だちもいない孤独な子どもだったが、何キロも先の匂いを嗅ぎ分ける超人的な嗅覚の持ち主だった。やがて青年となったグルヌイユは、ある時運命の香りと出会った。それは赤毛の少女の体から匂い立っていた。しかし彼は怯えて悲鳴を上げようとした少女の口をふさぎ誤って殺してしまう。以来、彼は少女の香りを再現することに執着し、香水調合師バルディーニ(ダスティン・ホフマン)に弟子入りするのだが…。(allcinema onlineより) 【感想】 なんと言うか・・・とても悲しい映画でした。 映画そのものはと~~ってもよく出来ていると思います。面白かった。 特に「匂い」に関する描写にはかなりこだわっていて、そりゃあもう出来すぎてるくらいで冒頭10分間くらいが特にキツかったです。18世紀のパリの魚市場のリアルさがそれはそれは大変なことになってまして、多少覚悟はしていたものの・・・画面からは匂わないはずの匂いを嗅いでしまったような気分でした。 あとはストーリーの強烈さとか何やら裸がいっぱいとか(笑)いうのも手伝ってか公開当時もかなり話題になっていたと記憶しています。 (以下は微妙にネタバレな気もするので読まれる方は気をつけてください。) 実際観てみるとそういうセンセーショナルな内容はどうでもよくて、胸揺さぶられたのは主人公のグルヌイユのあまりにも悲しい人生でした。 彼には彼なりの真っ当な理由があってもやっていることはまさに猟奇連続殺人。それには同情の余地など1mmたりともありません。悲しかったのは彼にはあまりにも何もなかったということ、そして彼自身がそれを(ラスト近くまで)自覚していなかったという事実。 彼は生まれてから、本当に生まれたその瞬間から一度も誰からも愛されたこともなく、誰かを愛したこともなく、ただその代償かのように驚異的な嗅覚だけを与えられていました。けっきょくその嗅覚のおかげで彼は生き延び、そして・・・となるわけですが。 グルヌイユはひょっとしたら世界をも手に入れることが出来たかもしれないその時に、気づいてしまうのです。世界中のものが手に入っても、自分が愛しく想う人、自分をやさしく抱き締めてくれる人が自分にはいないのだと。 映画の半ばくらいでそれを感じてしまって途中で泣いてしまったので、クライマックスの群集シーンの時にはもうそれほど「そうなのか・・・(涙)」という感じまではいきませんでした。(というより話題になったのはここだったんでしょうかね?全然エロい感じもしないしなんだか滑稽に見えてしまってちょっと笑いそうにすらなってしまった) 見た目の派手さに目を奪われがちですが肝心なところはシンプルだけど大切な「愛」がテーマ、147分の長さが苦にならない良い映画でした。 余談ですが、観ている途中も観終わってからも阿頭のことを考えてしまった私はもうどうしようもありません。最初から何一つ持っていないのと途中で全てを失う(奪われる)のはどっちが不幸だろう、とか、ぐるぐる考え始めるとまた泣けてしまいました。阿頭~~ 2007年7月28日:シネマしんげき
by kotaro_27149
| 2007-07-28 22:00
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