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2006年 03月 25日
ブロークバック・マウンテン
(2005年 アメリカ/134分) 原題:BROKEBACK MOUNTAIN 監督:アン・リー 脚本:ラリー・マクマートリー、ダイアナ・オサナ 出演:ヒース・レジャー、ジェイク・ギレンホール、ミシェル・ウィリアムズ、アン・ハサウェイ、ランディ・クエイド 【あらすじ】 1963年、ワイオミング。ブロークバック・マウンテンの農牧場に季節労働者として雇われ、運命の出逢いを果たした2人の青年、イニスとジャック。彼らは山でキャンプをしながら羊の放牧の管理を任される。寡黙なイニスと天衣無縫なジャック。対照的な2人は大自然の中で一緒の時間を過ごすうちに深い友情を築いていく。そしていつしか2人の感情は、彼ら自身気づかぬうちに、友情を超えたものへと変わっていくのだったが…。(allcinema onlineより) 【感想】 タイトルになっている通り、この映画のもう一人?の主役はあの美しい山でした。 ただ美しいだけじゃなく時にはとてつもなく厳しいけれど、そこはイニスとジャックにとっての桃源郷でもあったのです。 あの山で過ごす2人だけの時間はあまりにも幸福で、そしてあまりにも限られていたからこそ忘れらないものになってしまう。現実の世界がつらいほど余計に美しく見えてしまう。 彼ら2人とその家族達、皆がそれぞれの切なく苦い思いを抱えていました。 以下は映画の内容に触れています イニスとジャックにとっては真実の愛だったかもしれないけれど、それは彼らの妻たちから見れば紛れもなく不倫であり裏切りになってしまう。特にイニスは同性愛に対する後ろめたさは強いのだけど、妻(あるいは娘達)に対する罪悪感はどこか希薄な気がします。 あれじゃあ奥さんつらいですよ・・・ そうかと言って、2人で牧場をやろうとジャックに誘われても踏み出すことも出来ない。 イニスは子供の頃のトラウマから逃れられずにとても苦しんではいたのだけど、家族に対してもジャックに対しても真正面から向き合えないその弱さ(と言っていいのか分かりませんが)が周囲の人を傷つけてしまう結果になったのが、なんともやりきれませんでした。 ジャックのお父さんがイニスに「あいつの願いは何ひとつ叶わなかった」と語ったのは、自分がジャックのことを認めてやれないままに失ってしまったという自責の念と、イニスのことも少し責めたい気持ちがあったのでは。 ジャックとは確かにあまりうまくいっていなかった。同性愛だなんて許すはずもない。 だけど。 イニスと一緒にここで牧場をやりたいとジャックは言っていたのに、どうして来てくれなかったのか。息子は本気でそう望んでいたのに。 ・・・私の勝手な妄想ですが。 映画を観てから数日たちますが、なぜかこのシーンが思い起こされます。 とても静かで淡々としているけれど、登場人物の思いがじんわりとしみこんでくる映画です。たくさんの人に観てほしいし実際私が観た回はめでたく満席でしたが、お客さんのあまり入っていない映画館でひっそり観たいタイプの映画でもありました。 2006年3月21日:シネリーブル神戸
by kotaro_27149
| 2006-03-25 00:55
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